山内のサイト
ネットワーク関連研究 †
トランスポート、FEC、RED、高信頼マルチキャスト †
- 2001年度修士論文研究 田澤力 FECの損失回復に最適な冗長度を決定するためのパケット損失の傾向分析
現在、ネットワーク技術の応用で最も注目されているのは、マルチメディア通信である。これは、音楽、映像等の情報媒体とネットワーク技術とを組み合わせることで、新たな情報通信を実現しようというものである。その中でも、リアルタイム性を重視した音声・映像の同時配信の研究が進んでいる。ただし、これを実現するためには、インターネットにおいて避けることのできないパケット損失を回復するという課題について、考慮しなければならない。
パケット損失の回復手段には、再送によって損失回復を行うARQ (Automatic Repeat Request)の他、冗長パケットを付加して受信側で損失回復を行うFEC (Forward Error Correction)が提案されている。ARQは、Ack応答信号を利用して、損失パケットを再送によって回復する手段であり、インターネットではTCPに組み込まれて広く利用されている。ただし、先のリアルタイム転送を考慮した場合、RTT (Round Trip Time) による遅延の影響が無視できず、リアルタイム性を損なう可能性がある。よって、リアルタイム転送時の損失回復には、受信側のみで回復処理を行うためRTTによる遅延が殆ど無視できる、FECを用いるべきである。
FECを損失回復に適用するには、パラメータとして、処理ブロックの単位と冗長性を決定する必要がある。そのためには、処理ブロック内のパケット損失数を把握し、それに適応された冗長度を選択しなければならない。従来の研究では、損失傾向を推定するモデルとしてポアソン分布などの確率分布を用いてきたが、実際のネットワーク上におけるパケットの損失率は、必ずしも等確率ではなく、損失傾向のモデルとしてこれらの確率分布を用いることは適切とはいえない。これは、ネットワーク上でのパケットの損失傾向に、バースト性と呼ばれる特徴があるためである。
本研究では、従来の研究で用いられてきた確率分布と実際のネットワーク上での実測データとの比較を行って、実際のパケットの損失データに対してFECを適用させ、シミュレーションの結果から、最適な処理ブロック数と冗長度の推定を行った。その結果、パケット損失を回復させた後の実データの到着率を特定した際に、処理ブロック内のパケット数と冗長度をどのように設定すればその到着率を満足できるか、その具体的な数値をグラフ化することが可能であることが明らかになった。
- 2001年度卒業研究 山本廣那 ネットワークパケットにおけるFECの有効性の検証
今日、インターネットにおけるTCP/IPを用いたファイルなどの転送では、 パケット損失に対して再送という対処をせざるを得ない。しかし、動画や音声の配信を行った場合、TCP/IPを用いることは再送による遅延が発生してしまいデータのリアルタイム性が損なわれてしまう。そこで動画や音声を配信するにおいてはUDP/IPを用いるのであるが、UDPにはパケットの損失に対する対処法が実装されていない。そこで、ネットワークパケットに対し前方誤り訂正符号(FEC)を施し、損失パケットの回復を行う。本研究においては、誤り訂正符号としてリードソロモン符号を採用し、インターリーブ法を用いて損失パケットを回復する手法を検討する。それを実装したデータの送受信プログラムを作成し、FECの動作を検証する。
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- 2002年度卒業研究 石川卓永 大幅な遅延によるTCPの限界と、惑星間通信のための改善案について
トランスポート層のプロトコルの1つTCP(Transport Control Protocol)は、転送信頼性を応答確認によって確保し、また応答を用いてフロー制御・輻輳制御を行っている。しかし、現状のTCPでは、遅延の極端に大きい超長距離通信、たとえば惑星間通信を想定した場合、エンド・エンドで応答を用いて制御する仕組みは、著しい性能劣化をもたらす。本論文では、大きな遅延が発生した場合のTCPの動作を実験によって確認し、その改善案について論じている。
- 2002年度卒業研究 磯野真吾 FEC通信による誤り訂正について
マルチキャストやVODなどのマルチメディア通信において、TCPによるバルクデータ通信では応答確認の集中や輻輳による通信の支障が生じる場合がある。このような状況ではUDPを用いる事が多いのだが、このプロトコルに誤り訂正機構は無い。そこで、送信側が冗長な誤り訂正符号を付加し受信側で誤りを訂正するFECを使用する。
本研究では、リードソロモン符号によるFECを用いた通信の誤り訂正について検証を行った。
- 2003年度卒業研究 八木勝海 NORMプロトコル
大多数のデータ配信においてIP マルチキャストは非常に有効である。しかし、IP マルチキャストではUDP を使用するためTCP のようなデータ到着信頼性を実現されていない。データ到着信頼性をマルチキャストに付与するものとしてReliable Multicact(RM:高信頼マルチキャスト) がある。RM にはさまざまな方法があり、ACK やNACK を利用した再転送によるパケット回復、FEC によるパケットロス率の軽減などが提案されている。RM の一つとして、NACK(不到達確認要求) をしてパケットを回復するNORM プロトコルがIETF で提案されている。NORM ではパケット損失した際にのみ再送要求をだすという点でACK の再送制御より優れていると考え、NORM を用いることの利害得失、NORMを実装運用する際の問題点を調査し、NORM µ¶ の実用化を目指すものである。
- 2003年度卒業研究 湯浅大樹 高信頼マルチキャストにおけるTCPに代わる輻輳制御WEBRCについての検討
近年、インターネットの普及に伴い、一対多通信において効率の良いマルチキャストの需要が高まりつつある。しかしながら、マルチキャストのトランスポート制御はUDP で行われる為、輻輳制御がされていない。その為、TCP のように輻輳制御が組み込まれているプロトコルとUDP のように組み込まれていないプロトコルでは、帯域の使用において公平性に欠ける。また、UDP ではネットワークの状況を考慮せずに通信をするので、輻輳を引き起こす可能性がある。そこで、本研究では、SIGCOMM で提案されているWEBRC をUDP 上で用いてTCP との帯域共存について検討した。実験の結果、WEBRCを使うとネットワークの状況に応じて使用する帯域の割合を変化させている事が分かった。WEBRC とTCP との帯域を公平に共有させる実験において、ネットワークの状況に対してTCP の方が敏感に反応するが、全体としてみた場合公平に帯域を共有している事が示せた。
- 2004年度卒業研究 田辺憲行 Stream Control Transmission Protocolの調査及び分析
近年のブロードバンド回線の一般化やプロバイダ料金の下落によって今まであまり現実的ではなかったマルチホーミング機能が見直されてきた。しかし実際にマルチホーミング機能を有しているルーター等の普及は進んでいない。そこで、本件急ではTCPとの互換性のある新しいトランスポートプロトコルとして提案されているSCTP(ストリームコントロールトランスミッションプロトコル)がマルチホーミング機能をサポートしているので、これの詳細を検討し、実用性を分析する。
- 2006年度卒業研究 平岡大昌 SCTPの概要とマルチストリーミングの実用性の検証
近年、インターネットが大きく普及し、プロバイダの料金が下落した。 それにより、1つの端末に複数のネットワークを接続することが比較的容易になり、 マルチホーミングを使いやすい環境に近づいてきた。また、IP電話やビデオ会議、 動画のストリーミング配信など、インターネットの新しい利用方法が増えているが、 今までのプロトコルでは遅延が大きな問題になっている。 そこで新しく考え出されたものがストリーム制御伝送プロトコル(SCTP)である。 このプロトコルはマルチホーミングと遅延を解消しうるマルチストリーミングという機能を備えている。 ここではRFC 3286 - An Introduction to the Stream Control Transmission Protocolなどを参考にし、 そこから得られたSCTPの概要を、またそれがTCPと比較してどのような特徴を備えているか、 また、SCTPの大きな特徴のひとつであるMulti-Streamingの詳細を検討し、実用性についての分析を行った。
- 2006年度卒業研究 佐藤香奈子 FECにおける分散インターリービングの提案
現在、世の中では盛んに、ビデオ配信やIP電話等のリアルタイム通信が行われている。リアルタイム通信においてパケットの損失は、遅延の原因となる。TCPで用いられるARQ(再送による回復)では再送時に大きな遅延が発生する。代替の回復手法としてFEC(冗長符号を付加して送出することにより損失を回復する手法)が提案されている。FECではパケット損失のような長区間の回復をするために、インターリービングを用いている。しかし、パケットが連続して失われるバースト損失は回復ができない。そこで離れたパケット同士に対して行う事によって、回復率を向上する手法を提案する。パケット損失の実測データを用いてシミュレーションをした結果、連続のインターリービングよりも、離れたパケット同士でインターリービングを行ったほうが回復率が向上するという結果を得た。
- 2007年度卒業研究 山下裕之 インターネット上におけるパケット到着間隔の遅れと損失率の関係
近年、IP電話や動画配信(ストリーミングなど)のアプリケーションやネットゲームが普及してきている。これらが同時にネットワークを通ると、途中のルーターで輻輳が起こりえる。この輻輳が起こるとネットワークの利用効率が下がる。
輻輳は送出差を絞ることによって回避されるが、輻輳が起こるより前に検出できれば、早い段階での回避動作が可能になり、失われるパケットの数が減る。
本研究では、輻輳の早期検出のため、パケットの遅延と損失の関係を調べ、輻輳によるパケット欠落が起こる前に遅延が増加することを実測したところ、パケット欠落の直前に起こる遅延の増加が検出できる場合があることを発見した。
- 2007年度卒業研究 板美翼 ビデオ階層に階層的FECを組み合わせた提案
h.264は2003年に標準化された新しい動画圧縮規格で、圧縮率も高く用途も広範囲にわたる他方、動画を画像の乱れを少なくインターネット上を転送する方法は様々考えられてきたが、その中でも冗長符号を負荷することによってパケット損失を回復するFECは、遅延が少なく有効な手法と考えられる。本研究ではFECをH.264/AVCに適用する場合の方法を検討する。
- 2008年度修士論文研究 山口 智敬 R/S統計量によるClientにおけるRED検知
自己相似で特徴付けられるインターネットトラフィックはバースト性が強く,ボトルネックルータではしばしば輻輳が起こりパケットは棄却される.
ルータにおける輻輳回避のアルゴリズムの一つにREDがある.REDは到着したパケットを輻輳前にランダムに棄却することで輻輳を予防するが,ランダムな棄却には不都合もある.そこでREDによるランダムな棄却を検知する手法があれば,何らかの対策が立つと考えられる.たとえば冗長パケットの付与,パケットの重複送信,などが考えられる.
自己相似性で特徴付けられるインターネットトラフィックはREDの起動により自己相似性が崩れることが予想される.自己相似性の崩れを検知するパラメータとしてR/S統計量を利用する.
Ns2によるネットワークシミュレーション下において実験を行った結果,本パラメータ監視することにより,REDによるパケット棄却のタイミングを検知できることを確認した.
IPv6 †
- 2001年度卒業研究 駒津研二 IPv6に関する調査及び検証
本研究では、ネットワークに関する基礎知識を理解し、現在普及しているインターネットプロトコルであるIPv4に代わり今後普及することが予測される新しいプロトコルIPv6について検討する。特にIPv4からIPv6への変更点、移行するにあたっての手法、並存するための問題点の調査を行い、ファイル転送の実験を介してIPv6の動作に関する検証を行う。
- 2002年度修士論文研究 福田芳真 IPv6環境における侵入検知
インターネットは、その爆発的な利用拡大により、情報インフラとしての利便性が確立されてきている中で、アドレスの不足や経路情報の肥大化による問題が指摘され、新世代のIPv6が提案・実装され始めている。ところで、IPv6によりアドレス空間が非常に拡大した結果、家電製品や携帯電話などさまざまなものにIPアドレスが付けられ、通信の対象となることになった。このようなユビキタスなネットワーク環境への移行によって、セキュリティは今まで以上に重要となることに加えて、既存のインターネットで避けていた新しい問題が発生する。
具体的には、ユビキタス環境では家の外部から内部にある機器にアクセスするなど、クライアント・サーバ型ではないエンド・エンド型のアクセスが利用されるため、クライアント・サーバ型で有効であった既存のセキュリティ技術、つまりポート・アドレス対によるパケットフィルタとNATの併用によるアクセス制御の実現が、エンド・エンド型通信ではアクセス障害となってしまう。エンド・エンド型アクセスを許す程度に柔軟であり、かつ安全を守るのに十分なセキュリティを確保できるファイヤウォールの仕組みが必須となる。
本論文ではその実現手法として、個別のパケットの静的なパターンを検知するのではなく、通過するパケットのシーケンスを監視して異常を検出するIDS(Intrusion Detection System、侵入検知システム)の技術を、このIPv6化したユビキタスネットワーク環境でのセキュリティ維持の機構として提案し、そのために必要な機構の設計を行い、侵入判定のための異常アクセスパターンの収集を試みた。結論としては、NATがないネットワークにおけるファイヤウォール機構として、既存の静的パターンによるパケットフィルタリングでは実現できない、外部からの限定的シーケンスのみに対するアクセス許可が可能であることが確認された。
- 2002年度卒業研究 荻野彰 IPv6環境におけるIPsecによるIP-VPN
近年、インターネットおよび高速なネットワークインフラの普及によりVPNが身近なものとなって来た。VPNを実現する方法は多々あるが、インターネットを利用するVPNにおいて多くの場合にはIPSec通信が使われる。しかし、IPsecはまだ成熟しきっていない技術であるため問題点も多い。本研究ではIP-VPNとIPsecの有用性と問題点についての調査を目的とする。 また、IPv6環境ではIPsecが標準で使えるようになる。IPv6環境におけるIPsecについても合わせて調査した。
- 2003年度卒業研究 高嶌圭輔 SIP におけるIPv6 技術の導入
近年、IP 電話の普及が進んでいる。IP 電話は、通話のための音声をパケット転送する機能に加えて、相手との接続制御や通信サービス様態を制御する必要があり、その制御を行うプロトコルのひとつにSIP(Session Initiation Protocol) がある。一方、クライアントが接続相手を指定するために必要なIPアドレスは現在、枯渇の問題がある。現在広く用いられているアドレス変換(NAT) による解決はSIPとの親和性が薄く、根本的な解決であるIPv6 への移行が必要である。残念ながらSIP サーバ製品はまだIPv6 に対応していない。そこで、フリーのSIP サーバをIPv6 化し、IPv6 を使ったIP 電話の接続や会話が可能であるかを確認し、問題点を指摘する。
- 2003年度卒業研究 藤巻聡美 Mobile IPv6 におけるハンドオーバー技術について
近年ネットワーク技術の発達により、多様な通信メディアを用いて様々な場所でネットワーク接続ができるようになった。しかし、異種メディア間を移動する場合にコネクションが切れてしまう問題があり、それを解決するものがMobile IP である。Mobile IP では異ネットワーク間の移動時にもIP アドレスを保持するのでコネクションが切れないが、現状の提案仕様ではネットワーク間のハンドオーバー時の遅延が大きく、移動時に一時的に通信が途絶する可能性がある。本研究ではハンドオーバー時間を短縮する方法を検討するためMobile IPv6 の実験環境を導入し、ハンドオーバー時間の構成要素を分析した。
- 2005年度修士論文研究 藤巻聡美 IPv6ハンドオーバにおけるバッファリング機能の有効性の検証
近年、移動体通信の需要が高まり、通信を継続しながらサブネットを移動する様々なモビリティプロトコルが提案されている。しかし、シームレスなハンドオーバを可能にするには、接続を切り替える処理の伴うパケット遅延や損失等の問題を解決する必要がある。
現在までに提案されているモビリティプロトコルのシームレスハンドオーバはシミュレーションによって理想的な環境下での性能評価が主であるが、本研究では特にパケット損失の低下に焦点を絞り、実際に既存のモビリティプロトコルへバッファリング機能を実装し、有効性を確認した。その結果、通常のハンドオー場時間程度ならばパケット損失が起こることは無く、バッファリング機能は有効であることが確認できた。しかし、理想的なハンドオーバ時間以上の時間がかかった場合には256パケットしかバッファリングできず、それ以上のパケットは損失することが分かった。また、バッファリングしたパケットを非常に短い時間で出力してもMobile Nodeへの転送時にパケット損失が起こることが確認できた。
- 2005年度卒業研究 山口寛太郎 IPv6導入における最適な移行技術の提案
近年、各所でIPv6という言葉が専門誌だけでなく、一般紙でも取り上げられるようになってきた。ま た、ネットワーク環境の普及に伴い、いつでもどこでもネットワークを利用できるユビキタスネットワー クへの期待も高まっている。しかし、現在利用されているIPv4はアドレス個数が少なく、将来的にユー ザが利用できるアドレスが枯渇する問題がある。さらに現在のIPv4ネットワークではIP端末の移 動が考慮されていなかったために、アプリケーションを利用しながら移動することは出来ない等の問題 がある。これらの問題を解決するために開発されたプロトコルである。
しかし、ほとんど普及していないのが現状である。その原因は、移行技術がわかりづらく、コスト、セ キュリティ、コストに見合う結果が不透明なのではないかと考える。本研究では移行するための技術を 調査し、さらに移行に関する利点や弊害についても検討する。
マルチメディアネットワークとストリーミング配信 †
- 2001年度卒業研究 高田竜太 MPEG-4動画配信におけるパケット損失の影響
今日xDSL等の広帯域通信サービスが広がりつつあり、それに伴い動画配信コンテンツの増加が予想される。しかし、インターネットのベストエフォート配送という性質から、回線が混雑すればパケットの損失が避けられない。配信する動画像の圧縮符号化形式としてMPEG-4の利用が考えられているが、MPEG-4の性質上パケットの損失の仕方によっては再生に対して大きなダメージを与えることが推測される。そこで本研究では実際にMPEG-4動画ストリームデータを作成し、インターネットのISDN64kbpsアクセス回線でのパケット損失状況を調査し、MPEG-4動画を配信した場合にパケット損失で失われるデータが動画再生に与える影響を検討する。
- 2002年度卒業研究 須藤丈智 Motion-JPEG2000に関する調査及び検証
近年、ネットワークの普及に伴い、ネットワーク上で圧縮された動画を転送する機会が増えている。圧縮技術として、MPEGなど様々な方法が開発されてきた。最近静止画圧縮のためのWavelet変換を用いたJPEG2000が規格化され、それを動画に援用したMotion-JPEG2000形式が提案されており、その圧縮特性をネットワーク転送にも有効に利用できる可能性がある。そこで、本研究では、Motion-JPEG2000に対する理解とMotion-JPEG2000の特性を生かした用途を検討する。
- 2004年度修士論文研究 須藤丈智 TOSを用いたMotion-JPEG2000配信方法の設計
近年、ネットワークの普及に伴い、携帯電話などの転送速度の遅いモバイル環境でのビデオ配信や、光回線などの高速な回線でのビデオ配信など、さまざまな環境に合わせ圧縮された動画を転送する機会が増えている。そのような環境に合わせるために動画圧縮技術として、MPEG-1, MPEG-2, MPEG-4, H261, H263などのさまざまな方法が開発されてきた。そのなかの一つとして、近年、静止画圧縮のためのWavelet変換を用いたJPEG2000が規格化され、それを動画に援用したMotion-JPEG2000形式が提案されている。
Wavelet変換を用いたJPEG2000は、一枚の画像を高い周波数成分と低い周波数成分に分けることができる。この圧縮特性をネットワーク転送にも有効に利用できる可能性がある。
また最近では、光ファイバの普及等により、高速な回線と低速な回線が混在し、ストリーミングの動画配信等では、それぞれの低域にあった分だけの動画ファイルをストリーミングサーバに用意しなければいけない状況になっている。
そこで、本研究では、階層型にデータを分割できるMotion-JPEG2000と、送信パケットに優先度を用いることのできるTOSを使い、ノードに適した動画配信方法の提案、設計を行う。
- 2004年度修士論文研究 古田誠 マルチメディアストリーミングにおけるコンテンツに適応した送信制御設計
近年、インターネットの普及に伴い、TV会議や画面を含むマルチメディアデータのリアルタイム再生を行う技術が注目されている。しかし、これらのストリーミング通信では輻輳発生によるパケット損失によって動画再生の品質低下や、遅延時間による利便性の低下が問題となる。本論文ではリアルタイムストリーミングの信頼性あるデータ転送、輻輳回避及び、転送データの品質向上の観点から遅延時間を考慮に入れた通信制御設計の指針を提示する。具体的には、配信するコンテンツが一方向型配信か双方向型配信かの選択がある。FECではインターリーブ区間長や冗長度の決定、再送ではバッファ長、再生速度可変、Ack再送またはNack再相当の選択及び組み合わせを行い、遅延許容時間内で通信制御設計を行う指針を提示する。
- 2004年度卒業研究 三村公利 VoIPにおける遅延の分析と考察
近年、IP電話やVoIPという言葉を街中で多く見かけるようになった。一般家庭においても、企業においても、今までの固定電話からIP電話へ移行したり、その計画を持ち始めている。IP電話に「050」という番号で始まる電話番号をつけたサービスが開始され、今後ますますIP電話の普及は加速していくだろう。
しかしそのなかで、音質の向上などによるPCへの負荷の増大やデータ量の増加、それに加え、多くの人がインターネットやIP電話などを使用することによって起きるネットワークのトラフィックの増加などのため、話し手がしゃべってから相手に届くまでに途中で遅れが生じてしまう遅延が発生し始めた。その遅延にもハードによる遅延とネットワークによる遅延がある。巷では常にネットワークの問題のほうが大きく取り上げられ、ハードによる遅延が忘れられてきた。最近では、ネットワーク回線もだんだん太くなっており、ネットワーク回線が輻輳することが減ってきた。そのなかで、本論文では、多少古いハードを使っている場合、ネットワークによる遅延よりもハードによる遅延のほうが大きいのではないかという仮説を立て、実際に測定してみることにより、これから遅延を解消していく上でどの遅延を解消すれば効果的かを示していく。また、LAN内だけにとどまらず、インターネット網を当して自宅のPCと研究室のPCをつなげ、LAN内のみと比べてどの程度の遅延に差があるのかを検証する。
- 2005年度修士論文研究 八木勝海 パケット分割を考慮した動画配信
DSL、FTTH等のネットワークの普及に伴い、インターネットを利用した動画配信が行われている。近年、無料の動画配信など、そのサービス形態は地上波のTV放送に近いものになりつつある。一般的に動画配信での、動画圧縮技術では、MPEG2、MPEG4が主流であり、広く利用されている。それらの多くはフレーム間相関を利用して圧縮率を上げており、より密な情報を持ったファイルが作成される。圧縮率が上がっていくにつれて、小さなデータの欠落で動画再生に影響が出てくるのではないだろうか。
そこで、本研究では、転送されるデータはイーサネットのフレームに分割されることと、ストリーミングでの動画配信に注目し、動画配信技術の一つ、Motion JPEG2000を用いて、パケット分割を考慮した動画配信を提案、設計するものである。
- 2005年度修士論文研究 湯浅大樹 回線に依存しない動画配信方法の提案
近年インターネットの普及に伴い、今までのメールやHPの閲覧などに加えて、IP電話や動画配信などインターネットのマルチメディアかが進んでいる。現在、動画配信に用いられている方法として、大きく分けて二種類ある。ひとつは、配信データを受信者に向けてすべてて脳し終わった跡に再生する方式である。この方式では、受信者は大容量データ転送では待ち時間が長いことや、生中継のニュースのようなリアルタイムでの配信には向かないというデメリットがある。そこで、これを解決する方法として現在多くの動画配信アプリケーションで用いられているストリーミング方式がある。しかしながら、この方式ではデータを受信しながら再生を行うため、ネットワークの状況により動画の品質が左右される。そこで、本研究では一度に多数の受信者に向けてストリーミング配信をするときに、動画再生品質とネットワーク状況からの影響を軽減する手法として、複数のネットワークから同じデータを受信することを提案する。ネットワークごとの遅延状況により優先度を決定し、パケットの取得優先度を決定する。本研究では、本システムと既存の単数ネットワークからのデータ取得において、スループットと帯域の安定度で評価をする。
ネットワークの応用 †
- 2002年度卒業研究 鳥山悟 JMFを用いた遠隔教育システム
近年のブロードバンド化よる大容量インターネットの普及により、インターネット上での映像や音声を通したマルチメディアコミュニケーションの普及が現実を帯びてきている。またシステムを作るうえでJAVAというマルチプラットフォーム対応言語が注目を集めている。
本研究では、JAVA言語およびそのライブラリパッケージであるJMFを用い インターネット上での利用を考慮し、機種依存性をないシステムを実現する 音声・静止画像を用いた実況中継型の授業を実現する インターネットの特性である双方向性を持った遠隔教育システムを実現する ことを目標としてシステムを作成し評価する。
- 2003年度卒業研究 麻生健太 FLASH を用いたe-Learning コンテンツ
近年、私たちのIT 環境は国家戦略の「e-Japan 戦略」が前倒しになるほど、急速に整っていっている。また、2003 年7 月に発表された、「e-Japan 戦略」では、e-Learning によって、個人の能力向上とそれに伴う国際競争力の向上にも重点がおかれている。標準化も進んでおり、何より、自分のペースで学習ができるというメリットから、会社研修や学校教育からもe-Learning は注目されている。しかし、現在広く使われているコンテンツは、文字及び静止画と音声の組み合わせや、講演・講義のディジタルアーカイブであることが多く、ネットワークディジタルメディアの能力を使い尽くしているとは言い難い。その一例として、ネットワークディジタルメディアが提供する動きのある図版を用いることによって、静止画図版に比べ、理解度の向上が期待できる。本研究では、教材例として、ネットワークの動作の理解を取り上げ、その時刻を追った動作を「macromedia FLASH MX(R)」を用いてアニメーションとして試作し、動作原理の理解のし易さを比較・検証し、併せて教材制作上の問題点を指摘した。
- 2003年度卒業研究 宮下真 フレキシブルWBTの提案とその構築
近年パソコンの普及が進み、大半の家庭に一台以上あるといってよいほどになった。これにより、幼い時期からパソコンに接する機会が増えていき、今までよりもより馴染みやすいものとなっていくことが予想できる。また、科学が発展していくにつれて、テレビ放送やゲームなどの画面を見て遊ぶ機会が増加してきた。今の、そしてこれからの子供には教科書とノートに向き合って勉強するだけでなく、画面を見ながら学習していくことが求められるだろう。そこで、今資格試験や会社での研修などに用いられているE-Learning、特にその中のWBT(Web Based Training)を小・中学生という義務教育課程に導入していくべきだと考えた。だが、現在存在するWBT には欠点も多くみられ、これらをこのまま導入する事はできない。また、ただ知識を詰め込むだけではなく、完璧に理解をさせていくことを目的とする小・中学生の教育においては、利用している側の理解度を把握し、柔軟に対応していくことが要求される。そこで、利用する側の理解度を把握し、それに合わせて問題を出題していく機能を持ったWBTを提案し、実装・評価する。
- 2004年度修士論文研究 塚原大祐 過去の検索事例から生成したメタデータによるWWW検索精度の向上
現在、ユーザがWebにおいて情報を探す手段として、WWW検索エンジンが多く利用されている。現在のWWW検索では、自分のほしい情報が見つからない、あるいは探すのに非常に手間がかかるといったケースも多い。しかしユーザの求める情報は、広大なWWWのどこかには存在する可能性は高い。過去を遡れば、その情報を検索できたユーザもいたはずである。そしてそのユーザは、同じような検索キーワードで検索してその情報にたどり着いた可能性が高い。そこで本研究では、この過去に検索された情報を知るために、『情報についての情報』と呼ばれる「メタデータ」、及び「コミュニティ別に分けた検索」の二点を利用して、WWW検索精度の向上主意段を検討する。本稿では、現在の検索エンジンの精度を検証し、実現するメタデータ検索システムの利点について報告する。
- 2004年度卒業研究 伊藤栄佑 E-learningを用いた授業サポートの提案と問題点の調査・検討
大学進学率が40%を超えてきている近年、大学での教育が大きく見直されつつある。そんな中、コンピュータシステムを用いた教育方法であるE-learningが注目されている。東邦大学でも幾つかの取り組みが行われているが、互いの連携が無くまだ始まったばかりである。本研究では、東邦大学におけるE-learningを導入する際の問題点を明確にし、E-learning導入のきっかけとなることを目的とした。そのために、東邦大学の教師と学生にアンケートを取り、実態を調査するとともに、一般論としていわれている問題点との比較検討を行った。調査の結果、多くの教師が導入したいと考えてはいるが、導入時の手間や実際にどうやって運用したらいいのか分からない為に、踏みとどまっていることが分かった。又、学生においては授業外の学習時間の増加と、E-learningに対する前向きな姿勢が確認できた。
- 2004年度卒業研究 折原健太 FLASHを用いたe-learningコンテンツの提案と検証 〜SSL for Beginners〜
近年、世界がデジタル化し、すべての事業はオンライン化されほとんどの活動は通信端末を利用して運用されている。これは1990年後半から情報通信技術が急速に普及し、「IT革命」が日本に流れ込んだためである。これに伴い、日本政府は2005年までに世界最先端のIT国家となることを目標とした「e-Japan戦略」や医療・食・行政サービス等における利活用に重点を移した「e-Japan戦略II」を策定したためである。これらの戦略によってパソコンの普及率は急速に加速し、インターネット通信はパソコン利用者の9割近くが利用がいる。そのため現在、それら利用者を狙ったサイバー犯罪が急速に増加している。サイバー犯罪に関して安全な通信を実現するためにSSL通信が現在利活用されている。しかし安全な通信があるにもかかわらず危機意識が薄いパソコンビギナーにはあまり理解されていないのが現状である。理解度が低いと本来のSSL通信の力は完全に発揮できず、安全な環境は整備できていない。
さらに、e-Japan戦略IIの教育(知)の部分にクローズアップしてみると、社会人が時間・場所を選ばずITを活用して教育を受けることができる環境を整備するとe-Learningを推奨している。e-Learningの最大の利点は「いつでも・どこでも・自分のペースで学習できる」というメリットがあり、会社研修や学校教育の面でも注目されている。
このように日本政府は日本のIT化を押し進めている反面、教育では教育方針の「ゆとり教育」を推進し近年、学習時間が減少している。そのため、学習者の学習意欲が低下し、学習者の興味が無い学習は学習されることが無くなってしまった。
そこで本件急では、パソコン利活用ビギナー・学習意欲の低下した学習者を対象とした安全通信のSSLを題材とした教材的コンテンツを分かりやすく作成し、SSLの認知度・学習意欲の向上を図り、動作原理の違いによる理解度の変化を比較・検証するとともに、教材作成上の問題点を指摘した。
- 2004年度卒業研究 酒井めぐみ セマンティックWEBについての調査
現在WEB上では膨大な量のデータが存在し、ユーザは的確な情報を得ることが難しくなってきている。この問題を解決する次世代の技術として考えられているのがセマンティックWEBである。セマンティックWEBではデータの"意味"を取り扱うことによってユーザが問題解決をするために必要な有益な情報を得ることができるようになる。セマンティックWEBは新しい技術であり、発展段階にある技術である。本論ではWEBが今後どのようになってゆくのかを知るために、セマンティックWEBについて調査したことを説明し、その意味や将来性について論ずる。
- 2004年度卒業研究 長島史和 P2Pファイル共有と、それを利用した学内共有モデルの提案
日々インターネットに関連した技術が進歩する中、注目されているものの一つにP2Pというものがある。P2Pを利用したファイル共有アプリケーションはさまざまな問題をはらむとともに大きな可能性も秘めている。本論分ではP2Pの背景や現状を踏まえ、ファイル共有アプリケーションの問題点を調査すると共に、大学などの教育機関で情報共有にP2Pによるファイル共有を用いる方法を検討し、それに必要な仕様や具体的な使い方を提案した。
- 2005年度卒業研究 伊藤大輔 東邦大学におけるディレクトリサービスの提案
パーソナルコンピュータの普及によるコンピュータリソースの増加に伴う管理コストは非常に大きなも のとなっている。そして、ここ東邦大学でもコンピュータリソースの増大は発生している。ユーザ認証 の必要なシステムは、メールアカウント、学内のコンピュータの利用、Webからの認証などが考えられ、 今後さらに増えることだろう。 これらの問題に対する回答としてディレクトリサービスによるコンピュータリソースの統合が考えられ た。ディレクトリサービスではユーザの情報を統合的することで、保守コストの削減とセキュリティの 強化を可能とする。そこで本論文ではディレクトリサービスの一つであるにLDAPよる認証環境を構築 する上で必要な技術の解説を行い、東邦大学を例において提供する方法を提案する。
- 2005年度卒業研究 今村一哉 E-healthの概要と遠隔診療の可能性の検討
近年、世界のディジタル化は進行し、全ての事業はオンライン化されほとんどの活動は通信端末を利用 して運用されている。我が国、日本においても例外ではない。インターネット普及率は88%と9割近く の利用者がおり、現在の日本は情報通信大国と言える。また、利用目的としてインターネットなどの情 報通信技術を介した医療というものが注目されつつある。一方で、医療機関におけるIT化は始まったば かりではあるが、着実と進行してきている。本研究では、情報通信技術を介した医療に対する理解およ び情報通信技術を介した医療の一つである遠隔診療の可能性を、模擬システムの作成により検討した。
- 2005年度卒業研究 植木裕正 大学におけるPodcastingの有効利用法の検討
近年、ポッドキャスティングというものが注目を集めている。2004年頃からアメリカで流行し始めた新 たなインターネットラジオサービスであり、現在ホワイトハウスをはじめ、ABCやCNNなどのテレ ビ局、新聞社、IBMやゼネラルモーターズといった大企業がポッドキャスティングを配信している。日 本でも、iTunes Music Storeの日本進出を機に注目され始め、読売や日経などの新聞社がポッドキャス ティングを配信したり、ポッドキャスティングを映画のマーケティングに利用する例も出てきている。 本論文では、ポッドキャスティングの技術的背景を調査し、配信実験を通して大学という環境下におけ るポッドキャスティングの有効な利用法を検討する。
- 2006年度卒業研究 小垣馨 情動記憶を用いたパスワードの作成方法の提案
現在、コンピュータへアクセスする際、本人認証にはパスワードによる認証が主流である。自宅や会社・学校でのパソコンのログインやインターネット上のサービスへのアクセスなど様々な場面でパスワードが用いられる。しかし、パスワードはランダム(意味のない)で長い文字列が推奨される。これをユーザが覚えるのは容易ではない。 本論文では、「情動記憶」という人間の記憶の特性を利用した忘れにくいパスワードの作成方法を提案し、それと従来用いられているランダムに作成されたパスワードを比較し、本当に忘れくいパスワードかどうか検討した。その結果、情動記憶は確かに強固な記憶であったが、本論文で提案した方法では不十分であり、それを補足するシステムが必要であることが分かった。
- 2006年度修士論文研究 伊藤栄佑 経験学習を支援するデジタル教具の提案と実証
近年, ゆとり教育や教科情報の新設,教育基本法改正といったように, 学校教育の世界が大きく動いており授業の行い方が見直されてきている. 本研究では,生徒が授業に対して傍観者になってしまっている懸念を指摘し, その懸念を解消するには経験学習が必須であり,その手段としてデジタル教具が 有効である事を述べ, 「経験学習を支援するデジタル教具を使う事で生徒の主体性の実現が図れる」という仮説を立てた. その仮説を実証する為に,具体的にどのようなデジタル教具が有効なのかを検討し,その実装を行った上で 東邦大学付属東邦中高等学校にて既存の授業方式との比較実験を行った. その結果,内容の理解に関しては違いが見られなかったが,授業への参加度や 興味関心の幅が増えたという結果を得る事ができた. 又,そのようなデジタル教具を教師が,授業や生徒の状況に応じて容易に作る事の必要性を述べ, 教師がデジタル教具を作成できるシステム「COMind」の指針を示した.
- 2006年度卒業研究 大木裕介 正確な位置情報を用いた案内システムの設計
現在、大きな公園やパーキングエリアには、付近の建物や渋滞の情報を知ることが出来る、いわゆる案内システムが設置されていることが多い。登録されている情報はその場で閲覧するものが多く、目的地までの道順や情報を案内システムから離れた状態で閲覧出来るものではない。しかし、実際に屋外で目の前の不特定な物に対して情報を提供するシステムも存在するため、屋外で案内システムや情報を閲覧することも可能なのではないだろうか。本研究では、持ち運び可能なモバイルツールを用いて、目的物の前までの道順を表示することや、目の前にある物の情報をその場で閲覧することの出来るシステムを設計し、その中で自分の位置と方向の情報を制度良く得る方法としてインターネットDGPS(差分補正型GPS)を検討した。誤差を実測した結果、期待していた1m〜5mの精度は得られなかったため、更に要因の分析、代替方法の検討などが必要であることが分かった。
- 2007年度卒業研究 小山直人 内部告発の為の匿名性を持ったデジタル署名の提案
現在、日本において内部告発の数が増えつつあるが、告発による不当な扱いを恐れて告発に踏み出せない人も多数居るだろう。そこで、匿名であるデジタル署名を使った電子文書による内部告発を提案したい。デジタル署名をすれば自信を明らかにしてしまい、署名をしなければ信用性が失われる。匿名でありながら自身の所属を明らかにし、且つその組織に自身が所属していることを証明できるデジタル署名として、グループ署名がある。本論文ではグループ署名を利用し、条件を全て満たす匿名の内部告発の仕組みを提案する。
- 2008年度修士論文研究 小垣 馨 人間の記憶の特性を生かしたWeb認証システムの提案
現在、インターネットの普及・発達により、Webサイトがますます増加してきている。しかし、サイトの閲覧以外で何かサービスを受ける場合は、本人認証が必要となる場合が多い。その際に使用される本人認証は、文字パスワード認証を用いるのが一般的である。
本研究では、パスワードによる認証を用いる方式で、「情動記憶」と「エピソード記憶」といった記憶の仕組みや性質をより活用することによって、ランダムで長い文字列でありながら長期に渡って覚えていられるパスワード認証システムを考案し、実験により評価した。被験者には、本研究認証システムを試してもらい、英数字8文字の文字パスワード認証システムとを比較して、1〜28週間に渡って覚えていられるかを評価した。その結果、本研究認証システムの方が、長期覚えていられる認証システムであるという結果を得た。
- 2008年度卒業研究 石川 実 ドリル演習を支援するためのコンピュータの活用
以前に中学校で数学の教育実習をさせていただいたことがあった。その際、教壇実習において、計算問題に積極的に取り組む生徒と取り組まない生徒がいた。計算問題に積極的に取り組む生徒はどんどん問題を解いていくが、あまり積極的ではない生徒は基礎的な問題に終始しているように見えた。そのため、数学ができる生徒とできない生徒の2極化が激しかった。
教育実習を通して、どのようにすれば計算問題に興味を持ってくれて解こうとし、そして習熟が図られるのかという疑問を持った。そのため、その解決方法として、計算問題をコンピュータ上で行うことを考えた。本研究は、中学校3年生で学ぶ平方根に関する計算問題を、Web上で行うシステムを実現し、効果を確かめようとするものである。
その他 †
- 2001年度卒業研究 谷口夏行 情報賞味期限導入によるディスクスペース利用効率の向上
将来、大容量メディア通信が増えるのは必至である。かつては利用されていなっかった形態の通信手段も使われるようになるだろう。定期的な有料サービスの配信や、他のメディアからのデジタルへの移行があったりと、情報をデジタルで扱う機会は多くなる。そのなかでユーザのディスクスペース利用効率を向上させることは重要である。効率利用のためのアイデアとして、情報に「賞味期限」概念の導入を試みた。データの保存されている期間や使用された回数などで期限を設定し、情報のもつ価値や質を半減させることにより情報量を減少させるという考え方である。可逆・不可逆圧縮、削除、メディアの変換など、さまざまな手法を用いて適切な情報量への削減を可能にし、実用化することを目標とする。
- 2003年度卒業研究 山本真里子 VPNサービスに対する攻撃の可能性とその検知
近年のインターネットの普及により、侵入・攻撃が増大している。ホストやサイトを守るために、侵入・攻撃を検知する技術として防火壁(ファイアウォール) と侵入検知システム(IDS:Intrusion Detection System) が使われている。 一方、SSH、IPsec・SSL などに代表される仮想専用回線(VPN:Virtual Private Network) 技術は、転送データを暗号化することにより、データの秘匿性を確保すると同時に、ホストやサイトを侵入や攻撃から守る有効な手段であると考えられる。しかしながら、VPN に対してもサービス妨害(DoS:Denial of Service) 攻撃などは可能であり、絶対に安全というわけではない。本研究は、現在使われているルールベースのネットワーク型IDS をVPN と併せて用いることによって、攻撃をどのようにどれだけ検知できるのかを評価し、その評価を元にしてVPN に対する侵入検知システムのあり方を検討する。
- 2005年度卒業研究 小牟田洋佑 Bluetoothにおける干渉問題の分析と検証
コンピュータの発達やインターネットの普及により、情報技術が急速に発展してきている。近い将来、 あらゆる情報機器がネットワークで結ばれ、誰もがいつでも何処でも情報をやりとりできるユビキタス 社会が到来する。このようなユビキタス環境において、機器同士がネットワークを形成することにより 様々なサービスの実現が期待できる。
Bluetoothは、身の回りの機器を簡単に無線接続する技術であり、PCやPDA、及び家電機器への搭 載も増えてきている。しかし、その反面、同じ周波数帯を使う無線LANや電子レンジ、医療用機器な どが近くにあると電波的干渉がおき、通信速度が落ちることがある。
本研究では顕在化してきている電波的干渉の問題に焦点を当て、通信時にBluetoothが受ける干渉の 度合の把握や干渉による通信への影響を測定し、どのような環境のときに通信への影響が大きくなるか を明らかにした。その結果を報告する。
- 2005年度卒業研究 平林洋敬 P2Pストリーミングの現実性の模索
ブロードバンドの普及増大に伴い、動画コンテンツを視聴する機会も増えてきた。総務省でもインター ネット回線を利用した放送の実験を開始するなど、動画ストリーミングが一般的なものとなってきた。 しかし、配信側からすれば、動画ストリーミングは未だに設備投資コストがかかるものであり、大規模 での動画配信は普及が進みにくい状況である。本研究ではこの問題点を解決するべく、従来のクライア ント・サーバモデルに代わるP2P技術を用いたストリーミング配信技術について検証していく。
- 2006年度卒業研究 清水駿一 遅延を考慮に入れた分散ハッシュテーブルの提案
分散ハッシュテーブルの1つであるChordはPeer-to-Peerネットワークにおいて非常に効率的な検索を行う。 しかしChordはノードの配置を回線の遅延や物理的な距離を考慮に入れていないので、経路によっては検索に無駄な時間がかかることがある。
本研究では、そのChordにネットワークの遅延を考慮に入れるために、まずランドマークノードと呼ばれる計測の基準となるノードを用意して、新しく入るノードとの遅延を計測し、その遅延時間をランドマークノードからの距離として仮想的な2次元空間上に配置していく。距離が近いノード同士のグループが作れるように、空間をいくつかに分けて、その空間ごとにIDを割り振り、Chordとほぼ同じ仕組みで検索全体の時間を減らす手法を提案する。
- 2008年度卒業研究 木岡 祐介 センサネットワークにおける通信方式とセキュリティを考慮したプロトタイプ設計
近年センサネットワークが注目されている。センサネットワークが普及している背景とし て、センサが小型化されたため設置が容易になったことや、安価になってきていることが要因と考えられる。それにより、クライアントは容易に実空間情報を取得することが可能となった。しかしながら、問題点はいくつか存在する。例として、Live E!プロジェクトのセンサシステムを挙げる。Live E!プロジェクトのデータ通信方式ではサーバの処理がボトルネックになっていることや、大量データを送信する際、遅延が起こるなどの問題点が挙げられる。これらの原因として、RPC(Remote Procedure Call )型通信のデータ取得方式に問題があると考えられる。そこで本研究では、Stream型通信(データを小分けで送る)のデータ取得方式を取り入れ、同時にセキュリティを考慮し設計を行なった。設計を行なうことで、現時点でのセンサシステムの改善を見込むことが出来た。
Last-modified: 2013-02-19 (火) 17:18:44 (3463d)